i-room の効果


黒板を介したコミュニケーション

i-room を使うと何ができる?

i-room は、「ITメディアを使って、授業を双方向的なものにする」ツールです。

本ツールを授業に導入することによって、主に以下の2つの効果が期待できます。

  1. 「知識は学習者自らが協調的に作り出す」という社会構成主義に基づいた学力観の促進
  2. 同時に複数人が書き込め、発言を教師・受講者で共有できることによって、協調的な学習や双方向的(interactive)な授業展開に利用できる可能性があります。
  3. 学習者に自分は授業・学習に「参加している」という意識を持たせる
    従来の挙手による発言と違い、授業の進行を妨げることなく書き込める、発言以外の方法でフィードバックできる、書き込んだ発言が黒板で共有されることによって、学習者の自己効力感を高め、各自の存在感を持って授業に参加できる可能性があります。

本ツールは、特に、後者(2.)の目的を重視して作られています。

問題意識(日本の大学における授業において)
問題意識(留学生に対して)

黒板を介したコミュニケーション

本ツールの大きな特徴は、収集されたフィードバックが“黒板”(=教室前面に投影された画面。プロジェクタや電子化黒板を含む)に表示されることにあります。これにより、以下のような効果が期待できます。


問題意識

日本の大学における通常の授業と比べて

問題意識

近年、特に日本の大学において、学習に対する学生の意欲・関心の欠如学生が授業中に質問・発言しないことが問題になっています。この背景には、以下のような原因が考えられます。

  1. 「どうせ質問・発言しても何もかわらない」という効力感の欠如
  2. 「授業中は質問・発言してはいけない」という文化的背景
  3. 何を質問・発言して良いかわからない(「わからない」ことがわからない)
  4. 授業が面白くない


問題意識評価対象 評価方法評価結果発言回数の比較発言ログの分析

留学生に対して

問題意識

留学生にとっても、日本人学生とは別の理由から、授業中に発言・質問しづらい問題があります。言語の問題や文化的背景の違いから、以下のような理由が考えられます。

評価対象

東京都内の理系専科大学大学院における教育工学のゼミを対象としました。

このゼミには、3〜4名の留学生が参加していますが、普段はほとんど発言がありません。ゼミの議論に参加できないため、多くの留学生はPCや単語カードを持ち込む等して自習をしている現状でした。その理由としては、上記(問題意識)のようなコメントが見られました。

評価方法

i-room を使ったゼミを7回行いました。送られたフォードバックのログを分析し、普段のゼミの発言回数との比較を行いました。また、ゼミ後、留学生にインタビューを行い、感想を自由記述してもらいました。

評価結果

発言回数の比較

普段のゼミi-roomを用いたゼミ7回分の平均発言回数(フィードバック送信含む)を比較してみました。結果、i-roomを使ったゼミでは、留学生が日本人と同じぐらい(少し多いぐらい!)発言できるようになりました。

  普段のゼミ i-roomを用いたゼミ
平均回数 1人あたり 平均回数 1人あたり
留学生
[N=3(平均)]
0.29
0.10
4.71
1.57
日本人学生
[N=34(平均)]
10
0.29
32.14
0.95
不明
(guest、等)
 
 
33.29
 

発言ログの分析

送信されたフィードバックの種類を見てみると、ガッテンやキーワードなどの非形式的なフィードバックに加え、一言コメントなどの形式的なフィードバックも送信できていることがわかりました。

名前
アゲイン
ガッテン
キーワード
一言コメント
呼び出し
質問カード
進行速度
難易度
眠い度
総計
AK   4   6   1     2 13
AO     1 3           4
GT           1       1
HK       1     1     2
HS   1   2 1   1     5
IK     2 3     1     6
KS   1 3       1     5
KY       1   1       2
KT   2 1 8     1     12
KK     1             1
LC(留学生)   1 3 18   1       23
MT       2           2
MA   1       1       2
MI   1   1           2
MM           1       1
MN           2       2
NM 1 1               2
OH   2   1   1     1 5
SY(留学生)     2     2       4
TW(留学生)     1     3       4
TM   6   11   2       19
YN     1             1
YM     3 7           10
不明(GUEST) 11 5 18 111   25 16 15 32 233
携帯電話(すべて日本人) 1 2 10 34   8   1 2 58
総計
13 27 46 209 1 49 21 16 37 419
(うち留学生)
0 1 6 18 0 6 0 0 0 31

また、発言に日本語的な誤りがあっても、問題なく発言できゼミに参加できていたことが伺えます。


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